ソメイヨシノ Prunus ×yedoensis (バラ科 サクラ属



 ソメイヨシノは里桜の代表であり、公園や街路・河川の堤防など各所に植栽されている。葉の展開に先立って花が咲くので、花としては見応えがある。
 ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの雑種であり、学名の種小名の先頭に雑種を意味する×印が記されている。不稔であり、開花しても普通果実はできず、花が散るとやがて花柄は一斉に落下してしまう。希に果実が形成されるが、発芽する種子はほとんど無いようである。
 植栽してから15年ほどすると花付きが良くなり、20〜40歳の期間は見事に花を咲かせる。その後次第に樹勢が衰え、50歳を過ぎると衰えが目立つことが多い。特に管理が悪い場合には樹勢の衰えが目立つ場合が多く、100年も花を咲かせ続けるソメイヨシノは珍しいのではないかと思う。なにやら人生とよく似ている。このようなことから、かつて花見の名所であったところに久々に訪れてみると、ようやく生きている程度の桜並木になっていることも多い。桜の名所を維持するためには、20年後の姿を予想しつつ、長期にわたる管理計画が必要である。
ソメイヨシノソメイヨシノ
【テングス病】
 美しい花が咲いているソメイヨシノを見ていると、時として下の画像のように花の咲いていない枝があることがある。一カ所に枝が密生し、葉ばかりが茂っている様子を天狗様が巣を作っているようだという意味で、「天狗巣病」という名前をいただいている病気である。この天狗巣病はソメイヨシノだけではなく、ツツジ類などかなり多くの植物が罹患する。特に山などに植栽されているソメイヨシノではよく目立つ。この病気は伝染するので、早めに切り取って焼却処分することが望ましい。
ソメイヨシノのテングス病
【根からの発条】
 ソメイヨシノは結実しないので種子では増えないが、根から新しい幹を形成して増えることがある。下の画像は地表に表れた根から新たな地上茎を発生させたものである。地表面が洗われて流れるような場所では、根が地表面に出てしまうことがある。この斜面で草刈りを行っていると、春には勢いの良いサクラの新幹が所々で出てくる。これを残してやると急激に大きくなって立派なソメイヨシノに生長していく。最初はカスミザクラなどの芽生えかと思っていたが、咲いた花を見ればソメイヨシノであった。せっかくだから移植してみようと少し土を取り除くと、地下には太い根があって、とても移植できたものではない。
 次々と根からあたらしい幹を出していく様子は、ソメイヨシノが増殖しているわけではあるが、より条件の良い場所へと移動しているように見える。種子を作れないソメイヨシノの隠し技である。
ソメイヨシノ
【関連項目】
 桜と毛虫 / 紅葉 / ソメイヨシノとスズメ / サクラの花咲く風景
(生地第一期生の学位授与式 2001/03/20 にアップ)

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