ヒマラヤスギ Cedrus dendara Loud. (マツ科 ヒマラヤスギ属
 ヒマラヤスギは名前のとおり、ヒマラヤ原産の常緑高木。ヒマラヤシーダー(スギの意味)とも呼ばれる。明治初期に導入され、庭園木として利用されている。多くは挿し木で繁殖させるため、当初は直立しない傾向があるので、添え木が必要であったりする。枝としての性格が残り、枝が全方位に伸びにくい傾向があったり、枝打ちが荒いなどの樹形となりやすく、古樹では樹形が乱れているものが多いのではないかと思う。
香川県栗林公園のヒマラヤスギ整った樹形のヒマラヤスギ(おそらく実生)
新宿御苑のヒマラヤスギ、枝が荒い枝は下側が生長する
 新宿御苑の古木も枝の出方が荒い。おそらく挿し木苗から育ったものであろう。下のほうの枝の太さが半端ではない。邪魔になるので切った枝の断面が面白い。下側ばかりが生長している。枝の年輪数は55ほど数えることができた。撮影は2004年なので、切り落としてあまり年月が経過していないようなので、1945年ころに植栽されたものであろう。
 針葉樹の枝や幹は、傾いている場合には下側を生長させて重力に耐え、あるいは起き上がる。なお、広葉樹は反対で、上側を生長させて引っ張りあげる。
横から見たヒマラヤスギの根系(とても薄い)裏から見たヒマラヤスギの根
 根は他の針葉樹と同様に比較的浅いようで、樹高が高くなると台風などで倒れやすい。枝葉を間引くなどの剪定作業が必要であろう。ヒマラヤの生育地では傾いてお互いに寄り添った状態(酔っ払いの木)になっているものが多いとのことで、もともと倒れやすい樹種なのであろうと思われる。
 ヒマラヤスギが幹の上部で切られ、枯れてから引き倒されたものを見る機会があった。生育していたのは普通の宅地で特に土壌状態が悪いわけではないが、なんとも薄い根系であり、表面のみしか張っていない。これでは倒れるのも道理である。倒れて枝が地面に付けば、そこから発根して再生し、領土を広げるなどの戦略ぐらいはやりそうである。
長枝の先端若い枝には淡褐色の毛葉の気孔列
短枝の葉球果をつけたヒマラヤスギ
 ヒマラヤスギの葉はやさしく見えるが触ると結構痛い。長く伸びる勢いの良い枝は長枝といい、1本づつ葉が出ている。この長枝からは毎年ほとんど伸びない短枝がでて葉がかたまって付く。光が十分当たる場合には、伸びずにその場所で毎年同じように葉をつけることのほうが、経済的だからである。
2000年9月19日兵庫県飾磨高等学校にて2012年6月24日 岡山市
ヒマラヤスギの雌花と雄花ヒマラヤスギの雄花
バラバラになった鱗片翼を持つ種子
 ヒマラヤスギはたくさん植栽されているが、球果をつけているのを見ることは意外に少ない。画像としては、4回しか出会いの記録がない。数年に一度よりも少ないのであろう。針葉樹の球果は梢に付くことが多いが、ヒマラヤスギは手の届く低さでも球果をつける。つけていれば撮影しやすい樹種である。球果は大きくて、表面の模様は毛糸を巻きつけたみたいな感じ。成熟すると鱗片はバラバラになって種子を散布する。種子は自然に発芽することもある。
 8月、旅館の窓から外を眺めていると、ヒマラヤスギに大きな球果が見えた。撮影していると、隣の木には花が咲いていた。雌花の間に赤いものが見えた。雄花であった。球果は翌年の秋にバラバラになって種子を散布する。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科