結果と考察


D.広域(県下全域)分布種 カマツカ・クリ・イヌツゲ等

 本種群は,本県においては特にWIや降水量等に明瞭な反応を示さない種である。気候的条件等よりも伐採等の人為的攪乱等に対応して分布している種であると考えられる。全県下の二次林においてごく普通に見られる種である。Toyohara(1984)が示した広島県の二次林体系においても,クリ,及びカマツカ・ヤマウルシ・ミヤマガマズミは常在種として扱われている。

クリ

 本種群の中では,唯一高木層に達する素養を備えた樹種であり,県下に自生する落葉ブナ科木本の中では最も広い分布範囲を示している。従って,暖温帯域ではコナラ(A5b),アベマキ(A5a),冷温帯域ではミズナラ・ブナ(C1)と競合することになるが,クリはコナラ・アベマキよりも寒冷地に適応している一方で,年降水量1200o以下の地域で出現頻度が低下しており,乾燥に弱い傾向が見られる。クリはコナラ・アベマキが優勢な温暖な地域では,二次林の一構成種にすぎないものの,中間温帯域から冷温帯域にかけての二次林では有力な林冠構成種の一つであるものと考えられる。

ウメモドキ

 年降水量1200o未満の地域に分布の極大があるものの,本来,湿地生或いは林縁生の低木であり,乾燥に強いわけではない。沿岸南部の寡雨地帯では,度重なる山林利用,或いは山火事等による山林の荒廃に伴って成立した小湿地,及びその周辺等を生育地として分布しているものと考えられる。

ヤマコウバシ・マルバアオダモ・イボタノキ・ゴンズイ

 WIでは全域に分布が見られるものの,100〜120℃の区間にわずかな分布の極大が見られ,80℃未満及び,500mを超える高海抜地や,年降水量2200o以上の地域では出現頻度が低い傾向が見られる。これらの種は,基本的には,暖温帯域を分布の拠点としており,低・亜高木層において,競合関係にあると思われる樹種(C1C2)が優勢である冷温帯域では劣勢となっているものと考えられる。

ソヨゴ・イヌツゲ

 暖温帯域を分布の拠点とする傾向が強い常緑広葉樹の中では,最も寒冷地にまで分布している。ソヨゴは暖温帯下部ではアカマツ林の亜高木として存在することが多いが,暖温帯上部から冷温帯に至るにつれ,低木にとどまる傾向が高くなる。

タンナサワフタギ

 イヌツゲと同様に,温暖な地域では出現頻度が低く,北上するとともに徐々に出現頻度が高くなる傾向が見られる。

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岡山県における植物分布要因の解析
出典:難波靖司・波田善夫,1997.岡山県自然保護センター研究報告(5):15−41.
最終更新日:2000/07/07