概  要

  1. 地域フローラ資料と,1kmメッシュ気候値により,岡山県における植物の分布要因について解析を行った。地域フローラ資料からは,低・亜高・高木層構成樹種を中心に164種選定した。環境要因としては海抜,WI,年降水量を取り上げ,解析の対象とした。
  2. WI・海抜高度・年降水量による種の出現範囲やや増減傾向に着目し,類型化を行った。この結果,種を13の分布型に分類することができ,大局的には,ヤブツバキクラスに分布中心を持つ種,暖温帯上部に分布中心を持つ種,冷温帯に分布中心を持つ種,広域分布種にまとめられた。
  3. 通常沿岸部に成立するとされるスダジイ林であるが,岡山県では,スダジイの分布は,年降水量1400mm未満の地域で欠如していた。元々温暖湿潤気候を好むスダジイの分布は,瀬戸内海気候特有の少雨に強く制限されており,今後この地域の森林が,一様にシイ林に遷移するとは考えにくかった。
  4. 岡山県沿岸部の低海抜地では,シイ優占林は局所的な発達にとどまり,多くの地域では,アラカシ,モチノキ,クロガネモチ,ナナミノキ,クスノキ,ヤブニッケイ,モッコク,ネズミモチ等の,比較的豊富な組成による常緑広葉樹林の成立が想定された。
  5. 自然性の高い森林回復を想定した場合の樹種選定では,降水量の少ない沿岸部の低海抜地では,降水量に対する分布傾向に留意する必要があり,降水量に対して敏感に反応する種の植栽に際しては,対象地が十分な水分条件を備えた立地であることが必要と考えられた。


[解析方法]


岡山県における植物分布要因の解析
出典:難波靖司波田善夫,1997.岡山県自然保護センター研究報告(5):15−41.
最終更新日:2000/07/07